本日、日本の14の主要にこの40冊セットのパーリ三蔵を贈呈することが出来、真に光栄でございます。これは1956年に行われた、2500人のテーラワーダ僧侶による国際結集を基にした、世界初のローマ字パーリ三蔵の印刷物で、2500年以上保存されてきた人類の悟りの遺産で、とても大切なものです。
最初の三蔵セットはカラヤーニ殿下によって2005年3月6日に、当時のスリランカ大統領に贈呈されました。その三蔵のセットは今、コロンボの大統領府に安置されています。また、タイ国民に贈呈された三蔵は現在バンコクの憲法裁判所に安置されています。そして、西洋の国々のための三蔵はスウェーデンに贈呈され、現在ウプサラ大学の図書館に保存されています。
ローマ字パーリ三蔵の贈呈は私の父の祖父であるチュラーロンコーン国王が印刷出版したタイ文字パーリ三蔵の出版に次いで賞賛すべき行為です。チュラーロンコーン国王は1893年に、世界で初めてパーリ三蔵を本の形に制作して、その260セット以上を世界の主要機関に贈呈しました。その内、日本に30セットが贈呈されました。
この国際版のパーリ三蔵の出版と贈呈による功徳が、世界の人々に、いつまでも英知と幸福、そして繁栄を与える様お祈り致します。
2008年9月10日
大阪にて
タイより延暦寺にパーリ語三蔵経寄贈
九月十日、和宗総本山四天王寺(出口順得管長・大阪市)において、「ローマ字版パーリ語三蔵経」がチュラポーン・タイ王女より武覚超延暦寺執行に寄贈された。同経の「シャム文字版三蔵経」が明治二十六(一八九三)年に延暦寺に寄贈されており、今回百十五年振りに新たにローマ字版が寄贈されたことで、今後、関係する学術研究への寄与が期待される。
十日、四天王寺で行われた贈呈式はタイ王室が後援し同経の制作を担ったダンマ・ソサエティ財団と日本テーラワーダ仏教協会が主催。タイと日本の関係者二百余名が出席、タイのプミポン国王の第三女・チュラポーン王女より武延暦寺執行に同経が手渡された他、国立国会図書館や仏教系大学などにも寄贈された。
同王女は贈呈に際し「パーリ語三蔵経は、二千五百年以上保存されてきた人類の悟りの遺産で大切なものです。このローマ字版の出版と贈呈が世界の人々に叡智と幸福、そして繁栄を与える様お祈りいたします」と挨拶を行った。
これに対し、武延暦寺執行が贈呈された側を代表して「このたびの寄贈により仏の教えが世界に広がり、人々の幸福と平和の実現に大きく寄与するものと確信します」と謝意を述べた。
明治期の「シャム文字版三蔵経」は、当時の仏教研究機関五大陸・二百六十カ所に、チュラポーン王女の曾祖父にあたるチュラーロンコーン国王が寄贈している。
同経が散逸してしまっている機関もある中、延暦寺の叡山文庫に収蔵されている同経は、完全な形で残っている。 そのため、同日の贈呈式には、この叡山文庫所蔵のものが展示された。
今回のローマ字版は既に寄贈を受けている所も含め、日本国内十四カ所の仏教研究機関に贈られているが、国外でもインド、スリランカやスウェーデンなどにも寄贈されている。また、コンピュータ時代に対応させて、データベース化もされており、今後の活用が期待されている。
水尾寂芳天台宗教学部長は今回の寄贈に関し「明治期に頂いたシャム文字版が完全な形で残っているのは珍しいと聞いています。叡山文庫には幸い、完全な状態で収蔵されており、今回、それに加えてローマ字版を延暦寺にお贈り頂いたことは、まことに名誉であり、有り難く思っております」と語っている